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飛べないブタはただのブタさん

もはやブタはいません。

ずっと曹操のターン!

5巻まで読んだ(7巻まで刊行)

三国志〈第5巻〉

三国志〈第5巻〉


ようやく曹操が献帝を許都に迎え、呂布を討伐し、官渡の戦いで袁紹を破るところまで来ました。西暦200年とまだまだ折り返し地点には来てませんが、1巻あたりの後漢の中期の朝廷の話に比べれば、だいぶお馴染みの顔ぶれが揃ってきて読み進めやすくなりました。あくまでも正史ベースということで、淡々と場面が描画されていくのは宮城谷小説の特徴が出ているといってもよいですが、それでもやっぱり関羽のチートっぷりな活躍は避けられないんでしょうか。
宮城谷先生の文章では、たまにポンと人生の成功者に関する故事みたいな文章が出てくるのですが、曹操袁紹が大きく違っていたことに関する描写がとっても印象に残りました。天下を治めるにはどうすればよいか、という問いに対して、袁昭は「河北を征し地盤を固め、南方へ〜」といった戦略的で地の利を生かそうとした考えに対し、曹操は「よい人材が集まれば天下を為す」と言うような人間の能力の無限の可能性を信じた考え方を持っていて、そこに袁紹の限界があり、曹操の武勇が歴史に名を残すということが書かれていました。なるほどなぁ、と感心してしまった。
レッドクリフでは極悪非道な権力者的に扱われてしまった曹操だが、宮城谷先生の三国志では、豪胆かつ繊細な心を持ち、何よりも優れた人を愛する、器量の大きい人間として描かれており、読んでいてもなんかすっきりします。官渡の戦い後に、故郷に戻って昔の時を懐かしむ姿は、思わずグッとくるものがありました。権力を持ってしまったが故に失くしてしまったもの。この曹操像は、他の小説や漫画にはない斬新かつ素朴なものだと思いました。6巻をあとで借りてこよう。
ただ、この時点でまだ人物像が掴めてないのが、劉備だったりする。演義では英雄扱いですが、ここでは正史ベースなので、無頓着であまり魅力のない劉備像になっています。その分不気味な感じであり、曹操が唯一扱いに困っている人物である、という点では納得できますが。