飛べないブタはただのブタさん

もはやブタはいません。

かわいげのある男になることね

読んでみた

おひとりさまの老後

おひとりさまの老後


どちらかというと、シングル女性(死別も含む)の老後の暮らし方に関するバイブル??的な内容なので、自分にとってはなんだかなー、っていう客観的な見方で読んでみました。言っていることは至極まとも。これから社会の構造が少子高齢化でどんどん高齢者に傾いていく中で、いかに一人の老後を生きるか、という心の準備的にピッタリな内容でした。やっぱりいざ老後!ってなると家族に疎まれたり*1介護受けなきゃいけなくなったり、特に介護は受けないぞ!っていう気でいても何らかの要因で要介護になるかもしれないので、それこそしっかりとした介護を受けるためには予め心づもりをしないと、生きていくのが辛いんだろうなあと思いました。

気になった点として、まずは「おひとりさま」であることが必要条件な感じの内容でした。日本では老老結婚をする文化があまり普及していないので、夫婦どっちかが死んでしまえば自動的にシングルになる、という論理はよくわかるんですが、たとえば医療がめちゃくちゃ発達して、夫婦どちらも100歳まで生きるのが当たり前になる時代が来るかもしれないし、そうなると果てには究極の老老介護が待っているかもしれない。その時に若い世代はどうすればいいのか?っていうもっと大局的な内容があってもよかった気がするし、二人ともあほみたいに生き残ってしまった場合もあるかもしれない。なんか「ひとり」であることは素晴らしいという偏見が満ち溢れていたようで、そこはいただけなかった気がする。あと上野先生の本ということでうすうす感じてはいたけれど、フェミニズムが妙にあふれていたこと。なんか昔男に嫌な目に遭わされたんか?って疑ってしまうような文体で、それなりの社会学者ならもう少し平等に見てもいいんじゃないか?って気がしました。今は昔ほど男尊女卑が当たり前でなくなってきている、それこそ草食系男子(笑)のあふれている若者の老後についても語ってもよかったんではないか、と思いました。まぁ対象としては、上野先生と同世代のいわゆる団塊の世代向けだから、そこまでは考えるに及ばなかったんだろう。

今回は批判が多かったですな。まぁでも介護とか生活とか、基本的にどういうスタンスで行けばよいか、ということに関しては非常に参考になりました。面白かったです。

こういう本もあるらしい。

老いる準備 介護することされること (朝日文庫)

老いる準備 介護することされること (朝日文庫)

「おひとりさまの老後」で一番印象に残っているのは、「介護する側の制度設計だとかそういう話はよく出るが、介護される側の準備とか、そういう話はほとんど出てこない」ということだった。確かに、特にバリバリ働いてきたおっさんなんて「俺はどうせ風呂場でポックリ死ぬから」と言いつつも、むしろそういう人たちが生活習慣病が祟って寝たきりになっちゃったりとか、いざ介護されるとなると急に不安になったり心が折れたり、介護されること自体が非常にマイナスイメージになっていることが、やっぱり今の社会で漂っている問題なんでしょう。介護される、ってやっぱり勇気や覚悟がいると思うなぁ。イメージにしにくいから。他人に体を預ける、っていうのは自分を半ばさらけ出すことにもなるし。でも介護されることが当たり前になる世の中に今後なっていくだろうから、お世話される側もどうすればよいか、ということを予め知って覚悟する準備は必要だと思う。

*1:ただこれは少々偏見があるような気がする