飛べないブタはただのブタさん

もはやブタはいません。

条文の読み込み

条文の読み込みは、なんだかんだで大事です。弁理士試験に合格したあとも、実務で何かと役に立ってます。

昨日は補正要件の確認のため。別の担当者から「拒絶理由の対応での補正は、権利範囲を広げるようなものでも大丈夫なのか?」と聞かれたので、17条の2の項目を参照して説明しました。

今日は意匠の定義(2条)について。質感は意匠の対象になるのか?と聞かれたので、2条の定義のところを説明しました。

試験の知識は実務に役に立たないとかよく言われますが、全てがそうであるわけではありません。勉強してたからこそ、条文の該当箇所をさっと引けて説明できる、というのも弁理士として必要なスキルなのかな。。。としみじみ感じました。

他にも、時間の都合上、国内優先権出願後、優先権主張しないで同内容のダイレクトPCT出願(日本国移行しない)をパラで走らせる案件が発生してしまい、この場合EPの自己衝突やCNの抵触出願の可能性はあるか?という議論がありました。すなわち、新規性の基準となる未公開先願として日本国出願は対象となるのか?という問いです。これについては、EPCのArt.54(3)や、専利法の22条(かな?)の新規性の項目に答えが書いてあります。これもやはり一時期読み込んだ時期があって、それが活かされた瞬間でした。

条文の読み込みは面倒ですが、試験だけでなくその後の仕事やキャリアで必ず活きる場面があるはずです(自分のようにキャリアが全然少なくても)。なので、レジュメだけ読んで条文集を読まない、なんてことはせず、レジュメ等併用しながら条文集を読み込み、要件を確実に理解するようにしましょう。

75日

ご無沙汰しております。

平成30年度弁理士試験の短答試験まであと75日となりました。この時期、知識の穴を徐々に埋めていく一番辛い時期かと思います。その段階まで至ってないと、かなり追い上げないと厳しいかも。

それでもあと75日あります。1日4時間勉強し続ければ300時間。追い込みには十分です。以前書いたかどうかは忘れたのですが、試験当日に知識がフルで詰まっている状態に持っていくことが一番大事です。今現在フルである必要は全くありません。無理矢理に詰め込むのではなく、戦略的に最良のコンディションに上げていくことが、最も効果的で効率的です。

この時期は基礎固め、そのためには過去問です。過去問をどのようにして使うか、については昨年記事にしましたが、単に解答を覚えるものではなく、自らが苦手なところ、覚え切れていない、理解できていないところを炙り出すツールとして使いましょう。そして条文、青本を読むことです。理解しにくいときは予備校のレジュメを併せて読む。これの繰り返しに尽きると思います。最終的に過去問が100%出来るようになり、その周辺知識を条文、レジュメ等使っておさえていければ、もうバッチリです。

弁理士試験に限らず、基礎を理解し固めることは、試験合格の最良の近道と考えます。暗記だけで太刀打ちできるような試験ではありません。あと75日、まだまだ75日、焦らずじっくり着実にこなしていきましょう。。。

 

 

【弁理士試験】最後の10日くらいでやったこと

佳境ですね!試験まで約10日となりました。来週1週間はお休みを取って試験対策に命を懸ける方も多いと思います。私も昨年1週間休みを取ろうとしたのですが、その月曜日に緊急案件の打ち合わせが入っててんてこ舞いでした・・・。

この時期から、重要条文や判例の定義趣旨を、ただひたすら覚えていました。活用していたのは予備校のレジュメです。青本でもよいですが、レジュメだと押さえるべきキーワードが分かりやすく示されているので、効率がとても良かったです。

最初から頭ごなしに記憶するのは無理があるので、まずはさらっとキーワードをメインに流してから、3周目くらいで焼き付けていく感じです。

例えば部分意匠の導入の趣旨だと、「独創的な部分」「全体として侵害を避ける巧妙な模倣」というようなキーワードをとにかく拾っていきます。論文試験ではこのようなキーワードが書けていれば、それなりに点数がもらえます。趣旨等が書いてある青本の記載等をそのまま覚えておく必要はありません(効率も悪い)。

一方で、判例については、特に規範についてはある程度正確に覚える必要があります。あてはめに必要だからです。ただし、これも判例文をそのまま覚える必要はなく、キーワードを直前に何度も何度も書いて覚えます。フレッドペリーとか

 高速旋回バレル研磨法とか覚えにくいですが・・・。レジュメによって判例の重要度がランク付けされてることもあるので、割り切って重要度の高いものだけ取り組んでもよいかもしれません。

記憶のピークが論文試験に来るように、まずはキーワードを固めておいて、そこから趣旨、定義、規範を書き起こせるように、かなり辛いですが、ひたすら覚えていきましょう。

弁理士試験で論文全文書きしながら気をつけること

論文試験まであと3週間となりました。まだまだ追い込み真っ最中でしょうか。

論文試験未対策な方は、とにかく過去問や過去の答練の解答をひたすら全文書きしていると思います。短答直後からスタートしていれば、そろそろ1周するくらいかなと思います。でも、ただ書いていれば良いというのでは、ただの複写に過ぎません。写経と同じで、全文書きにも目的があります。

全文書きの目的は、前にも書いたように

  1. 答案の構成を身につける
  2. 書くべき論点をおさえる
  3. 筆記体力を身につける

ことがあります。この中で特に気をつけて欲しいのが2です。

答案の構成がしっかり書けていても、論点を落としていたり、結論を誤っていれば、ごっそり点数が引かれます。逆に、答案の構成がイマイチでも、論点を全部拾えていれば、それだけで6〜7割は取れます。とすれば合格です。

論点を挙げることは、ある意味慣れであると思います。なので、全文書きする際は、どういった論点が拾われているのか?なぜ拾われるのか?ということを、問題文と見比べながら確認してください。

たとえば、「どんな拒絶理由、無効理由があるか」と聞かれれば、間違いなく特許要件(新規性、進歩性、拡大先願、先願)が論点になりますし、優先権で請求項を追加すれば単一性要件が問われます。

そして、これらの要件を満たすかどうかを、条文に沿って一つずつ潰していくことが大事です。たとえば、29条の2の場合、①他出願の日後に自出願し、②自出願の日後に他出願の公開公報(特許掲載公報)が発行され、、、というように、条文に記載された要件を一つずつ確認します。この点についてはまた違う機会に書きます。

全文書きする際は、一度自分で論点を整理してから(解答を見ながらでもOK)書いて行くと、自分の中でも整理されると思います。

弁理士試験で論文対策ほぼゼロから短答直後から始めたこと2

短答試験の問題と解答が公開されましたね!ぱっと見たところ、条約というかPCTがかなり難しい。。。足切り心配な方も大勢いらっしゃるかも。

一方で上四法は言われるほど難しくはなっていない気がしました。意匠10問目みたいに聞き方が面白い問題もありましたね。

さて、昨日の続報です。

弁理士試験で論文対策ほぼゼロから短答直後から始めたこと1 - 飛べないブタはただのブタさん

短答試験直後は短答試験用に脳味噌がチューンナップされているうえ、論文対策がほとんどなされていない、という状態では、正攻法で攻めることはできません。時間が全く足りません。

なので、新築の家を基礎から建てるのではなく、プレハブ小屋でなんとかこしらえることをやります!

そこで昨日載せた3つのやったこと。

  1. 過去問全文書きを7年分×2回
  2. レジュメ流し読み
  3. 重要判例趣旨書き起こしプラスα

1の過去問全文書きがプレハブ小屋の床、壁、屋根になり、2の流し読みが小屋の中のインフラ設備となり、3の趣旨書き起こし等が家具とかインテリアとかになります(かなり強引ですが)。

工期は1ヶ月あれば、それなりの形になるものは出来るはずです。逆に、長期間論文対策に費やした結果、装飾が煌びやかな豪邸が完成していたとしても、メンテナンスが行き届いていなかったり、使い勝手が悪いとただのハリボテですよね。

突貫工事の第1段階として、過去問をひたすら全文書きします。ここでは次の2点に気をつけながらひたすら書きます。

  1. 問題の種類と挙げるべき項目の理解
  2. 文章構成

まず1番目ですが、書きながら問題の種類とか項目の挙げ方を理解しようということです。論文試験の問題のパターンや論点はそれほどバリエーションはありません。短答の方が凶悪です。大雑把に、事例検討系と趣旨系にほぼほぼ分類できます。趣旨系はレジュメ流し読みで対応しますが、事例検討系はとにかく数をこなして慣れます。慣れると、例えば特許侵害の警告を受けたときにどう対応すればよいか、というときに、もらう(譲渡、許諾)、つぶす(無効審判)、かわす(先使用抗弁、104条の3)、諦める(設計変更、事業中止)という項目がちゃちゃっと出てくる感じになります。ここまでやり込むことが大切です。写経のようなものです。

次に2番目については、どのような構成で書くべきか、を体で身につけます。いろんな講師の方の模範答案がおると思いますが、その中で自分のフィーリングと合うものがよいです。私は短く記述するスタイルを選びました。本番は全然時間がないので。。。また、解答用紙を埋めるくらい書けとも言われますが、自分の場合、少なくとも意匠商標では余白はありました。記載量よりも、ちゃんと項目挙げられているか、の方が大事だと思います。

自分の場合は、過去問7年分×2に答練解答丸写しをやりました。正直、このストロングスタイルで確実に解答が書けるかというと、そんなことはありません。ですが、「項目を挙げる」「文章を最後まで組み立てる」訓練をこなすだけで、それっぽいものが書けてしまいます。これは、答案構成だけしても、項目上げだけしても身につきません。

本番は6割程度の解答が書ければよいよで、完璧を目指さずとも項目を拾えていれば意外と点が稼げるものです。個人的には、今年から試験委員に弁護士さんが増えたこともあり、部分点を拾うスタイルよりも、設問に対する論旨(つまり構成)に対する心証の方がウェイトを占めてくるかもしれません。が、そうも言ってられないので、とりあえず全文書きしまくって慣れること、形を叩き込むことが近道かなと思います。とにかく書きまくりましょう。

また、このストロングスタイルは、物理的に手が鍛えられます。スタミナをつけるにも良いです。

過去問全文書きは、短答試験直後から論文試験直前までやっていました。が、論文試験1週前くらいからは全文書きのウェイトを落とし、2のレジュメ流し読みと3の判例趣旨書き起こしを根詰めてやっていました。これらについては次回書きます。

なお余談ですが、昨日、すぐ自己採点をやれ!と言いましたが、自己採点やってなくても、点数取れてない自覚があっても、すぐ論文対策は始めた方が良いです。さっかく短答の知識で頭が温まってる状態なので、論文対策をここから始めたとしても、あまり抵抗は無いはずです。むしろ何もしないというのでは、いつまで経っても合格できないと思います。まさにいつやるの?今でしょ!でございます。頑張りましょう💪

弁理士試験で論文対策ほぼゼロから短答直後から始めたこと1

短答試験お疲れさまでございました。問題見てないので何とも言えないのですが、予備校の間で解答速報の結果がかなり割れているらしく、さらに難化したのかな?ともかく、明日の特許庁の発表を待って自己採点しましょう。

さて、私は昨年短答(2回目)→論文(初)→口述(初)と一気に受かりました。しかし、昨年短答までの期間はほぼ短答対策に費やしていたので、論文対策はほぼやってないに等しい状態でした。それでも論文を通ってしまっていたので、とりあえず短答直後から論文試験まで何をやっていたのかを書き残します。

やったこと

  1. すぐに短答自己採点(これ意外と重要)
  2. 過去問全文書きを7年分×2回
  3. レジュメ流し読み
  4. 重要判例趣旨書き起こしプラスα

 

まず1について。上にも書いたとおり、明日22日には短答の解答速報が出ます。すぐに自己採点しましょう。自信がなくてもすぐに答え合わせしましょう。

39以上ならほぼ確実に突破していると思って間違いないです。すぐに論文の勉強を開始します。また、36〜38の人も、もしかしたら受かってる可能性もあるし、ダメでも来年へのスタートダッシュとして、すぐに論文の勉強を始めましょう。時間はかなり限られているので、1日でもムダにしてはダメです。

ちなみに昨年、自分は短答終わった段階で間違いなく受かってるだろうということで、LECの速報だけみてすぐ論文試験の勉強を始めました。

 

2以降の具体例はまた明日。

 

逆にやらなかったこと

  1. 答練
  2. 模試
  3. 項目上げ

論文対策がほぼゼロであっては、何も積み上げがない状態です。それで答練とか模試とかやっても何のフィードバックも得られないし、お金と時間のムダです。項目上げについても、試験が半年先なら良いかもしれませんが、あと1ヶ月ちょいという状態では、項目上げが出来ても答案が書けるようにはなりません。

論文対策ほぼゼロの人は、墨俣一夜城みたいな効率重視の突貫工事で、敵を攻めなければなりません。なので、項目を上げられるようにする+答案をかけるようにするを両輪で勢いでやり通す必要があります。これから1ヶ月ちょい苦しみますが、まずはこの山を気合いで乗り越えていきましょう💪

 

PCTの勉強:弁理士試験

PCT、鬼門of鬼門ですよね。 平成27年度の試験まではPCTは丸々捨てるという選択肢もあったのですが、平成28年度から各法域ごとに足切りが導入されてしまったので、ぶん投げる訳にもいかなくなりました。しかも条約10問中4問も出してくるから、ウェイトもかなり大きいです。私も、平成28年度のは4問中2問しかできてませんでしたが、まだ助かった方かなと思います。

ただ、今後の特許実務においては、国際出願、内外業務は避けて通れないですので、どちらにせよ勉強する必要はあります。

国際出願の流れを把握する

PCTは規則がアホみたいにあります。絶対覚えられないです。

ただ、実務でよく使われるような規則は、試験でも間違いなく問われるところです。例えば、優先権主張出願、国際調査、見解書、19条補正、予備審査、34条補正、単一性、国内移行、手続取下げなどなど。。。

なので、まずは国際出願の一連の流れを理解すると良いかと思います。これがわからんと、規則を読んでも意味不明です。

そこらに落ちているのだと、特許庁が公開しているテキストが役にたつかなと思います。

ざっくり(と言っても49ページもある)制度とか割と細かな手続の説明が書いてあるので、とっかかりにはいいかなと思います。

登場人物の違いは必ず把握

出願人、受理官庁、国際事務局、国際調査機関、国際予備審査機関、指定官庁、選択官庁などなど、多くの登場人物がPCTには登場します。ここで、上述した「国際出願の流れを理解する」うえで、「誰が」「何を」「誰に」送付したかなどを頭に入れながら進めるといいと思います。そうするうちに、これら登場人物の役割の違いも理解できます。また、「誰が」「何を」「誰に」送付したかとかいう問題はしょっちゅう出ます。誰のところが、違う人に入れ替わってたり、落ちていたり。ここを理解できれば、正答率はだいぶ上がるんじゃないかと思います。

条文と国願法には目を通しておく

PCTの条文はそんな多くないので、文言をしっかり覚えなくても、だいたいどんなことが書いてあるかはざっと目を通しておいた方がよいと思います。

もし、さらに突き詰めるなら、条文とリンクしている規則を整理するとよいかもしれません。ちなみに、EPC(欧州特許条約)の条文と規則はEPOのウェブサイトに掲載されていますが、関連する条文と規則とはリンクが貼られているのですごい分かりやすいです。ただ、ここに時間を割くのは勿体無いので、せめて過去問や答練で出てきたものに絞ったほうが良いです。

あと国願法、意外と役に立ちます。これは、国際段階において日本国特許庁が受理官庁、国際調査機関、予備審査機関とするときの手続に関する法律であまり試験には出ないです。ですが、PCTの条文とかと違って日本語がしっかりしてるので分かりやすいです(PCT条文は翻訳)。なので、国際段階の手続とかは国願法を見ると理解しやすいかもしれません。

答練を利用する

それでもPCTは何が出るか分からないですし、全部を基礎から網羅するのは不可能です。なので、例えば、予備校の答練や模試で出た問題を利用して理解するのは良いかと思います。

ある程度問題をこなしていると、何となくですが、条文や規則を知らなくても、正誤の判断がだんだん合ってきたりすることもあります。

それでも解けない

しかし、それでも解けないのがPCTだったりします。PCTのいくつあるか問題なんて、正解できるかは正直運次第です。ましてや総会がらみの問題が出たら誰も解けません。こんな問題出す意味もないし。

なので、PCTは細かいところよりも、制度の流れを理解できれば、あとは慣れかなと思います。

そういえば、平成28年度の論文試験の特実1問目では国際出願の趣旨が出てきましたね。。。あれ四法の青本にはどこにも書いてないのにな。。。というくらい、国際出願は今後実務者にとっては避けられないものですので、せめて国際出願の一連の流れを理解はしておいたほうが良いと思います。