飛べないブタはただのブタさん

もはやブタはいません。

管仲(上)

管仲 上

管仲 上


言わずと知れた春秋五覇の一人、斉の桓公の宰相を務めた賢人管仲の物語、の前半で、周で鮑叔牙と管仲が出会ってから、鄭を経て、斉の太子候補である公子糾と公子小白にそれぞれ仕えるまで。なんていうか他の宮城谷小説もそうだけど、歴史小説という名を借りた啓発書の最も抜きん出た物語だなぁと認識させられた。ビジネス書にもおすすめして良いと思うんだけど。管仲の取った政策はいわゆる富国強兵策らしく、これについてはたぶん下巻で詳しくやるんだろうけども、商売の大事さ、民を富ませることの重要さを2000年以上も前に理解していた管仲はもっと評価されるべき。また、管仲の不遇さも然ることながら、それを打ち払う鮑叔牙の誠実さ、妻の強さを表現する言葉の美しさに全俺が泣いてしまった。よい本です。
 
そして今さらながらに思うことだけれど、高校のとき漢文の授業でよく史記を扱っていて、その当時は全然興味がなかったんだけれども、いわゆる「管鮑の交わり」については印象が残っていて*1、まぁもう少しちゃんと勉強するなり、もっと早くこの本に出会っていたらなぁとしみじみ思うのです。

*1:鮑叔牙の名前が変だったからかも